前に、
「赤ん坊は良いな、何もけがれてなくて」
そう口にしたことがあります。
『穢れ』
わたしはいつのまにかけがれてしまった。
そう、いつのまにか思っていたのかもしれない。
その思いが言葉になって出たんだと思う。
その頃は、
赤ん坊はけがれてないと思った。私と違って。
世の中の知らなくていいこと、
知りたくもなかった大人の事情、
どうやったって覆せない現実という理不尽、
いろんな力で圧力をかけて他人を蹴落とす現実、
まっさらで優しそうでいてどす黒い裏面を持った大人たち……。
そういう知りたくもなかった現実を、
赤ん坊は知りようもない、
理解もできない。
でも赤ん坊はわたしたちと違って不自由なことのほうがいっぱいある。
そう考えると、
成長した今のほうがいいかもしれない。
でもこんな現実は知りたくなかった、
なんてことたくさんある。
でも不公平な世の中も、
知りたくなかった現実も、
一緒に生きるしかないんだと思う。
そういう不公平な現実があるとわかったうえで
覚悟して生きていかなきゃいけないんだと思う。
きっと大人はそういう覚悟を意識せずに覚悟して
覚悟した気になって
生きていくんだと思う。
大人になるって多分、
そういうことなんだと思う。
あなたの考える大人になることって、
どういうことですか?