こんにちは、1日5食食べるVtuber叶星シャノンです。
今回はある日、ふと夢で見た内容を書いていこうと思います。
気が付くと僕は道の真ん中に立っていた。背中にはリュックの重みがある。
(ああ、そうだ。僕は仕事の帰りなんだっけ……)
出社するなり上司に呼び出され、解雇を言い渡された。でも会社を辞めたことに後悔はなかった。
毎日上司から怒鳴られ、同僚からもいいように扱われ、もう心が疲弊しきっていた。
(三年……もたなかったな)
大学を卒業してすぐに入社、三年は頑張って続けようと思ったけど現実はそう甘くはなかった。
いつのまにか雨が降り始めていた。ぐっしょりと濡れたリュックが重さを増したように感じる。いつしか身体は冷え切って、心の暗い重さも増した気がする。とぼとぼと歩き出す。が、家に帰るつもりもない。もうすべてに対して疲れてしまった。顔を上げると、目の前の信号が点滅していた。何かにとり憑かれたかのように僕は一歩を踏み出す。
次の瞬間、甲高いブレーキ音と共に身体が宙に浮くのを感じた。まるでスローモーションのように、周りの景色がゆっくりと回転していく。そしていきなり雨に濡れた硬い地面にたたきつけられる。ゴロゴロと転がって、軽い水音と共に気が付くと僕は地面に横たわっていた。ちょうど水たまりの上。暗い空が反射して水たまりに映っているのがぼんやり見える。僕の血なのか、水が赤く染まっていくのが見えた。赤黒い、空が見えた。周りからはざわざわとした声、誰かが話しかけてくる声が聞こえる。けれどその声もだんだんと遠ざかっていく気がする。まるで眠りにつくように、僕はゆっくり目を閉じた。
……目を閉じる瞬間、目の前の水たまりが光った気がした。でもきっと気のせいだろう。頭を打って気がおかしくなったんだ。きっと、そうだ……。
あれからどれぐらい経っただろう? 頬に冷たい感触がある。床が、硬い。いや、ごつごつしている。なんだこれは? 次第に頭がさえてくる。気になって目を開けた。
世界が横向きになっている。いや、僕は地面に横たわっていた。水たまりの上に。不思議なことに、さっきまであんなに重かった身体が全然重くない。ゆっくりと起き上がり、辺りを見回す。空は雲一つない天気なのに、僕の目の前にだけ水たまりがあった。異様な光景だ。そしておかしいことがもう一つ。
(……ここは、どこだ?)
見たこともない風景が広がっていた。青々と茂る草原、少し離れたところには今にも崩れそうなほど風化した塔のようなものが建っていた。そして依然、自分の周りだけは草が生えておらず、その代わりに水たまりがあった。水は赤黒く染まってるなんてなく、空の青さを映していた。
(きっと夢だ)
そう思い、わけもわからないまま立ち上がる。身体の動きもさっきよりやはり軽い。周りを再度見渡すが、辺りには誰もいなかった。ずっとここにいても仕方がない。僕は塔のほうへとりあえず行くことにした。
(きっとだれかいるは……ず……)
再度意識が飛び、僕は眠るようにまた倒れこんだ。
続く?