1日5食食べるVtuberのお噺部屋

1日5食食べるVtuberの呟き

現実と夢のはざまで#不思議

気づいたら古い木造建ての学校にいた。

私がいるところは寮にあたる部分らしい。

部屋は簡素で、

木でできた勉強机、

パイプ椅子、

そして寝心地悪そうな木のベッド、

そしてベッド脇にはこれまた使い古された小さい棚が置いてあった。

 

時刻は明け方、だろうか?

昇り始めたらしい日の光が窓から少しだけ差し込んでいるものの、

部屋の中は異様に暗い。

壁は木造の学校らしくクリーム色というか、

正直明るいとは言いにくい色だ。

 

わたしはベッドに横になっていた。

かび臭いベッドなのか、

鼻につんとした臭いにおいが伝わってくる。

 

なんでここにいるんだろう……?

 

ぼんやりとそんなことを考えていたら、

突然ガララっと部屋の扉が開いた。

わたしは窓のほうを向いていたから、

背中のほうで扉が開いたってことになる。

 

誰かが音を立てないように忍び足で

こちらへ向かってきているのが分かった。

床がその誰かが歩く度にギィっと音を立てている。

 

夢の中とはいえ、

恐怖で振り向くことができなかった。

 

直後、右腕をつかまれ無理やり仰向けにさせられる。

覗き込んできたのは

知らないおじさんだった。

 

ボサボサの髪に無精ひげ、

見たこともない、

知らない人だ。

 

驚いて飛び起きて、

そのあとは覚えていない。

 

きづくと廊下にいた。

まっすぐとどこまで続いているかもわからない

木でできた硬い廊下が続いていた。

はだしらしく、床の冷たさが伝わってくる。

足が、寒い。

 

ふと左へ顔を向けると、ベッドの前で前かがみになって動かない先ほどの男がいた。

するとゆっくり男が体を起こして

こちらを見た。

ニタリ、という気持ちの悪い笑みを目にし、

わたしは終わりがあるのかすらわからない廊下を走り始めた。

 

身体が寒い、

夢の中だからか走っても息は切れないが

寒さが体に伝わってきて耳が痛い。

 

どのくらいの速度で走っているかもわからない。

『止まったら襲われる』

そのことで頭の中はいっぱいだった。

 

後ろから何を言っているのか、

男の言葉にもなってない叫び声が近づいてくる。

 

ひたすらまっすぐ、まっすぐ走っていくと

廊下が左へ曲がっていた。

 

壁にぶつかりそうになりながらも左へ曲がる。

すると目の前に職員室の看板があった。

 

無我夢中で扉を開けて中に入る。

扉をすぐ閉めてあかないように鍵をかけた。

 

そして振り返って気づいた。

……誰もいない。

しん、と静まり返っていた。

 

後ろからは男の怒鳴り声と、

扉を乱暴にたたきまくる音が聞こえてくる。

 

どうしよう、

と考える間もなくドアが蹴破られた。

 

飛んできたドアに押され、

わたしは埃まみれの汚い床に倒れこむ。

 

もう、終わった

 

そう思った瞬間目の前が真っ暗になった。

 

 

毎日来る窓の外からの雀の声が聞こえて、

わたしは飛び起きた。

ここは現実。

隣にはいびきをかいて寝るご主人様。

 

わたしはふとんをきっちりかけて寝ていた。

じゃああの寒さは?

床に倒れこんだ衝撃は?

かび臭さは?

 

今いる部屋は毎日掃除しているし、

ご主人様はわたしより鼻が利くからかび臭くなることなんてありえないし、

ゴキブリだっていない。

 

何もかもが不思議だった。